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症例シナリオ

患者背景:40代女性。過去5年間に複数のクリニックで10回以上のフィラー注入を受け、ヒアルロン酸、エランセ、スカルプトラを含む施術歴があります。当初は涙袋の陥凹やほうれい線の改善が目的でしたが、徐々にアップルチーク、顎、こめかみなど多部位に拡大しました。

受診経過:

• 約1年前から顔全体が「腫れぼったい」「不自然」と感じ始めた

• 周囲の方々が顔の変化に気づき始めた

• 鏡を見るたびに以前との違いが増大

• 別のクリニックで「フィラー過充填症候群(Filler Overfilled Syndrome, FOS)」の可能性を指摘

• HA部分溶解を試みたが、全体的なまんじゅう感の改善は限定的

来院時の状態:

• 全顔に典型的なまんじゅう顔の特徴:顔面輪郭の不明瞭化、比率の崩れ

• 触診で複数箇所のフィラー蓄積を確認

• 一部の領域で異常な触感(しこりや異物感)

• 患者さまは外見に強い苦悩を感じていた

深度分析

問題の根本原因分析

> 重要ポイント: まんじゅう顔(FOS)は一回の注入で生じるものではなく、長期的な蓄積の結果です。個々の注入時は「問題なし」に見えても、組織内でのフィラーの累積効果が徐々に全体の顔面輪郭を変化させます。HA溶解だけでは問題の一部しか解決できません。非溶解性素材が残存するためです。

関連記事:FOSの診断と治療のゴールドスタンダード

医師の観点

「典型的なFOS症例です。全顔超音波で複数の領域に異なるタイプのフィラー残留が確認され、一部には顕著な組織反応もありました。この症例の課題は:第一にHA(溶解可能)と非溶解性素材(物理的摘出が必要)の識別、第二に一度にすべてを摘出するのではなく戦略的に段階処置すること——大規模な一回の手術では腫れと回復期が過度になるためです。

戦略として、まず超音波で包括的評価を行い『フィラーマップ』を作成、優先順位に基づいて段階的に処理しました。」

治療計画と過程

全体戦略

第1段階の手術

超音波マッピング:既知のフィラー位置と種類をすべてマーク

優先処理:まんじゅう感に最も寄与する領域から着手

素材別戦略:

- HA領域:ヒアルロニダーゼで先行処理し後続摘出範囲を縮小

- エランセ/スカルプトラ領域:超音波ガイド下微創摘出

リアルタイム評価:各領域摘出後に即時スキャン

安全第一:手術時間や麻酔の限界に近づいたら中止、次段階へ

摘出結果

第1段階で複数の異なる素材のフィラーを摘出。変性した古いHA塊、エランセ結節、スカルプトラ顆粒が含まれ、一部には顕著な線維化反応が見られました。

患者さまへの重要事項

FOS修正の特殊性

回復の期待

> 重要ポイント: FOS修正は「マラソン」であり「短距離走」ではありません。患者さまはこの点を理解し、各段階に対して現実的な期待を維持する必要があります。焦りは不必要なリスクにつながる可能性があります。

本症例の臨床的示唆

FOSは治療より予防 — 累積注入量を定期的に見直し、過充填を回避

全顔超音波がFOS管理の基盤 — 完全なフィラーマップが不可欠

段階的戦略が安全で効果的 — すべてを一回で解決しようとしない

混合素材が複雑さを増す — 素材ごとに異なる戦略が必要

心理的サポートが不可欠 — 修正の旅は長く、十分なコミュニケーションとサポートが必要

まんじゅう顔でお悩みの方は、カウンセリングのご予約で包括的な超音波評価をお受けください。

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