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PDO・PLLA・PCL、スレッドリフトの糸素材をどう選ぶ?吸収期間・コラーゲン刺激・支持力の徹底比較

劉達儒 医師2026年8月5日4 分で読めます
医学監修:劉達儒医師(皮膚科専門医)| 最終審査:2026-08-05
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PDO・PLLA・PCL、スレッドリフトの糸素材をどう選ぶ?吸収期間・コラーゲン刺激・支持力の徹底比較

「先生、PDO・PLLA・PCLのどれが一番いいですか?長持ちするものを選びたいのですが。」

スレッドリフトの相談で、この質問は毎回必ずと言っていいほど出てきます。私の答えはいつも同じです。「その聞き方だと、方向性がちょっとずれています」と。

持続期間は素材選択の要素の一つですが、全てではありません。スレッドリフトの結果を左右するのは、素材の特性と組織の状態・下垂の程度・処置する部位がきちんと噛み合っているかどうかです。「最も長持ちする」糸を選んでも、層が違えば、部位が合わなければ、効果は出ません。

臨床で私が3種類の糸素材をどう考えているか、整理してご説明します。

各素材の臨床的な特徴

PDO(polydioxanone:ポリジオキサノン)

外科用縫合糸として開発された素材です。加水分解が早く、組織内での完全吸収は概ね6〜9ヶ月。コラーゲン産生刺激はやや限定的で、主な効果は糸自体の機械的張力による即時的なリフトアップです。施術直後から変化を実感できますが、持続期間は3種類の中で最も短くなります。

PLLA(poly-L-lactic acid:ポリ乳酸)

吸収は遅く、18〜24ヶ月かけて徐々に吸収されます。コラーゲン産生刺激はPDOより強力ですが、効果はすぐには現れません。施術後3〜6ヶ月かけてコラーゲンが蓄積し、輪郭の改善がだんだん明確になってきます。「数ヶ月後に徐々に良くなる」という経過に理解と準備がある方、長期的なコラーゲン再生を求める方に向いています。

PCL(polycaprolactone:ポリカプロラクトン)

3種類の中で最も吸収が遅く、18〜24ヶ月以上かかります。延展性が高く弾性に優れていて、組織の引っ張りに対して断裂しにくいのが特徴です。コラーゲン刺激能力も高く、組織の重力を大きく受ける部位(たとえば下顎ライン)での物理的支持に向いています。

3種類の素材特性比較

特性PDOPLLAPCL
主成分ポリジオキサノンポリ乳酸ポリカプロラクトン
体内吸収期間約6〜9ヶ月約18〜24ヶ月約18〜24ヶ月以上
コラーゲン刺激中程度強い強い
糸の弾性比較的硬め中程度弾性良好
即時リフト感明確中程度明確
効果の出方施術直後から施術後3〜6ヶ月で徐々に直後から+コラーゲン増生で強化
典型的な適応軽〜中等度のたるみ、予防的ケア長期コラーゲン再生、輪郭リシェイプ中〜重度のたるみ、支持力が必要な部位

ポイント: 3種類の素材にはそれぞれ適したシチュエーションがあります。「どれがベスト」には正解がありません。軽度のたるみにPDOは十分ですし、そこに無理にPCLを使うのはリソースの無駄。重度のたるみにPDOだけでは物足りません。「最も良い素材」ではなく「組織に合った素材」が正しい問い方です。

「一番長持ちするものを選ぶ」は典型的な誤解

PCLやPLLAを選べばそれだけ長く効果が出ると思いがちです。場合によってはその通りですが、そうでないこともあります。

下顔面のたるみが顕著で皮膚の弾性が低下している場合、どんな素材の糸を入れても、コラーゲン刺激だけで組織を持ち上げることには限界があります。その場合に問うべきは「どの素材を選ぶか」ではなく、「スレッドリフト単独で今の状態に対応できるのか」です。たるみの程度によっては、糸は補助的な位置付けであり、主役ではない。

逆に、30代前半で軽微なたるみの予防的処置として、高コストのPCLに一度に投資するより、PDOで定期的にメンテナンスする計画のほうが現実的なケースもあります。

ポイント: 素材選択の正しいロジックは「組織のニーズに素材を合わせる」こと。診察でお聞きするのは今の組織の弾性・たるみの程度・ご希望の変化で、素材の選択はその評価の後に決まります。素材から先に決めるわけではありません。

部位とたるみの程度が素材選択に与える影響

部位によって糸素材への要求は異なります。臨床でよく見る場面をいくつか。

下顎ラインやマリオネットラインは組織の重力を大きく受けるため、支持力が重要で、PCLや高規格のPLLAが選ばれやすい。頬(リンゴ肌)や中顔面は組織が比較的軽く、PDOでも十分な効果が得られることが多い。頸部や下眼瞼周辺は皮膚が薄く表情動態が大きいため、硬めの素材は異物感の原因になりやすく、弾性の良い素材が向いています。

若い方の予防的ケアでは、組織の弾性が保たれており、たるみも軽微なことが多いので、PDOでのコラーゲン刺激メンテナンスで十分なケースが多いです。

なお、糸の形状設計——モノフィラメント(平滑線)、スパイラル(螺旋線)、バーブ付き(鈎線)——も素材選択の一環であり、固定力の方向や強度に影響します。これは施術計画の詳細として相談時に確認すべき点です。

素材は一つの変数、設計が根幹

最後に明確にしたいのは、どんなに優れた素材でも、解剖学的に誤った層に挿入されたり、リフトの方向が合っていなければ効果は落ちます。素材だけで結果は決まりません。

構造的スレッドリフト(Structural Thread Lifting)では、脂肪パッドの位置や靱帯の走行、荷重を受ける部位、避けるべき血管や神経を解剖学的に把握した上で、糸の経路とベクトルを設計します。素材の選択はその設計の後に行うことです。

「素材の種類だけ聞いて、技術的な評価の枠組みを聞かない」相談では、部分的な情報しか得られません。

スレッドリフト前に医師に聞くといい質問

「どの素材を使いますか」より参考になる質問:

  • 私のたるみの程度はスレッドリフトの適応ですか?他のアプローチとの組み合わせが必要ですか?
  • PDO・PLLA・PCLのどれを選ぶと判断した根拠は何ですか?
  • 糸はどの組織層を走行しますか?なぜその層ですか?
  • 施術後のメンテナンス計画はどう考えていますか?

スレッドリフトはどれくらい持続するかという問いへの答えは、素材の種類だけでなく、組織の弾性・生活習慣・メンテナンス計画によるところが大きいです。

よくある質問

PDO糸が吸収されたら、効果は完全になくなりますか?

吸収されても、糸の刺激によって形成されたコラーゲン組織はしばらく残ります。糸が吸収された瞬間にゼロに戻るわけではなく、その後もしばらく維持されますが、期間は個人の組織代謝速度によって異なります。

3種類の素材を組み合わせて使うことはできますか?

できます。たとえば下顔面の主要支持にPCL、コラーゲン再生を目的とする部位にPLLA、皮膚表面に近い細かい部位にスパイラルPDOを使うといった組み合わせは、臨床上あります。組み合わせること自体が目的ではなく、設計に論理的な根拠があることが前提です。

スレッドリフトとHIFU・高周波(RF)を同時に行うことはできますか?

一律の答えはありません。先にエネルギー系の治療で組織を刺激してから数ヶ月後に糸を挿入するプロトコル、逆の順序で行うプロトコル、どちらも臨床上あります。スレッドリフト・高周波・HIFU、どう選ぶかに基本的な比較の考え方をまとめています。


スレッドリフトが自分のたるみの程度に適しているか評価したい方は、スレッドリフトの適応年齢と適応症についてもご参照ください。組織状態をより明確に把握したい場合は診察予約でエコー画像を参考に確認することができます。

著者について
劉達儒

劉達儒医師

麗式クリニック 院長

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専門分野

<20% 極限低侵襲脂肪腫切除術粉瘤 1:1 精密低侵襲切除ワキガ低侵襲根治手術(腋下・乳輪・陰部・小児)アポクリン腺完全除去術フィラー合併症の単一ピンホール物理摘出術(溶解酵素・ステロイド・5-FUではない)自家脂肪硬結のピンホール微細粉砕摘出術

資格・経歴

  • 高雄醫學大學醫學系
  • 高雄長庚醫院皮膚科專任主治醫師
  • 高雄長庚醫院美容中心專任主治醫師
  • 廈門長庚醫院皮膚科兼任主治醫師
  • 廈門長庚醫院美容中心兼任主治醫師

「すべての手術で、極小の切開と精密な技術で、患者さんに理想的な結果をもたらすよう努めています。低侵襲手術は技術だけでなく、患者さんへの敬意と約束です。」

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