美容医療修正症例分析

目の下の脂肪注入がしこりに、隠すために刺激材を足してもう一つ:5年重なった硬結を摘出するまでの全記録

劉達儒 医師2026年8月27日4 分で読めます
医学監修:劉達儒医師(皮膚科専門医)| 最終審査:2026-08-27
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目の下の脂肪注入がしこりに、隠すために刺激材を足してもう一つ:5年重なった硬結を摘出するまでの全記録

多くの症例紹介では、術前と術後の2枚しか見せてもらえません。その間に何が起きたのか、医師が何を根拠にどこから入ると決めたのか、その日に実際に何が出てきたのかは、たいてい省かれています。

この記事は違います。この患者さんについては4つの段階すべてを記録しました。術前、超音波での位置確認、摘出の瞬間、そして術後3か月です。この一症例を通して、目の下の硬結に対する処置がどう進むのかを最初から最後までお伝えします。

一つだった問題が二つになるまで

最初のご相談はとてもシンプルでした。涙溝を埋めたい、というものです。

目の下に自家脂肪を注入し、くぼみ自体は埋まりました。しかししばらくすると硬いしこりに触れるようになり、外から見ても盛り上がりが分かる状態になりました。

ここから先は、多くの方がたどる道です。出っ張った部分が消えないのなら、隣のくぼんだ部分を持ち上げれば平らに見えるはず。そう考えて、今度は隣にコラーゲン刺激材を注入しました。

その注入で、二つ目の硬結ができました。

そこから数えて、この二つは5年以上、目の下に残り続けることになりました。

無表情のときでも分かります。笑うとさらにはっきりします。眼輪筋が収縮して、硬結全体が前へ押し出されるからです。ご友人から「目の下どうしたの、何を入れたの、どうしてそうなったの」と直接聞かれることが何度もあったそうです。

つらいのは聞かれること自体ではありませんでした。ご本人も答えられないことでした。何年も取り除きたいと思ってこられましたが、返ってくる答えは「吸収されるか様子を見ましょう」か「これは手術が必要です」のどちらかだったといいます。

「もう少し足して隠す」がうまくいかない理由

この症例でいちばん学ぶところが多いのは、直感的で、しかしほとんど成功しないその二歩目です。

目の下がすでに盛り上がっているので、隣に材料を足して周囲を同じ高さまで持ち上げれば段差は消えるはず、という考え方です。実際には三つのことが起こります。

一つ目。対処すべきものが一つ増えます。硬結が一つから二つになり、しかも材質が異なります。

二つ目。目の周りは平面ではありません。皮膚が薄く、その下の眼輪筋は絶えず動いています。ここに入れた材料は、想定していなかった位置へ押し出されていきます。目の周りの摘出が顔の中でもっとも繊細な領域の一つであるのは、こうした理由からです。

三つ目。皮膚が薄いところに斜めから光が当たると、わずかな高低差でも自らの影で強調されます。平らにしたつもりでも、鏡はそう映してくれません。

はっきり言えば、目の下の盛り上がりに材料を足すのは解決になりません。

第二段階:まず見る、そのうえで何を取るか決める

処置の前に、高周波超音波で目の下全体を確認しました。

この工程がこの症例では特に重要です。向き合うべき材質が一つではないからです。自家脂肪によるしこりとコラーゲン刺激材による硬結は、深さも位置も異なることが多くあります。前者は比較的深い層にあり、ご自身の組織との境界が曖昧になりがちです。後者は浅めで、より限局していることがあります。

それぞれがどの層にあり、どこまで広がっているかが見えて初めて、体表に位置を描き、針穴をどこから入れてどの方向へ進めるかを決められます。

写真の線は飾りではありません。超音波で確認した内容を、体表に写し戻したものです。この工程がなければ、あとは手の感覚に頼ることになります。目の下は血管と神経に対する余裕が少ない場所です。

これは私たちが繰り返しお伝えしている原則でもあります。見えて初めて、安全に扱えます。同じ考え方は脂肪注入後のしこりに対する低侵襲修正でより詳しく説明しています。

第三段階:摘出当日

摘出は針穴ほどの小さな創部から行いました。

写真の2本のシリンジに入っているものが、その日に実際に取り出した内容です。イメージ図ではありません。5年間、この方の顔に留まっていたものです。

この写真を撮るのは、同じ質問を何度も受けるからです。本当に取り出せたと、どうすれば分かるのか。その答えがこの一枚です。

第四段階:術後3か月

術後3か月の再診時、目の下の輪郭は滑らかに戻り、横から見たラインも整っています。

お伝えしておきたいのは、これはこの患者さんの経過だという点です。摘出後の見た目、腫れの引き方、皮膚の戻り方は人によって異なり、注入量や経過期間、皮膚の状態によっても変わります。

脂肪のしこりと刺激材の硬結は、同じ問題ではありません

この二つは一緒に語られがちですが、対処の考え方は異なります。

自家脂肪はご自身の組織です。生着した分は長く残り、生着しなかった分は線維化や石灰化を起こして触れる硬さになることがあります。やっかいなのは、周囲のご自身の脂肪との間に明確な境界がない点です。そのため超音波では、エコー輝度や境界の形態から見分けることになります。

コラーゲン刺激材は外来の材質で、組織にコラーゲンを産生させることで働きます。形成される結節は境界が比較的はっきりしていることが多い一方、異物に対する体の反応であるため、時間の経過とともに周囲の組織が硬くなっていきます。

ですから術前の超音波は、位置を探すためだけのものではありません。それぞれの材質の状態を判断し、どう扱うかを決めるための工程でもあります。フィラー硬結の扱いについてはフィラー合併症の修正を、脂肪注入が主な原因である場合は自家脂肪合併症の修正をご覧ください。

この症例は当院のフィラー修正サイトにも記録があります。そちらは材質の見分けと「二本目を打つべきか」という判断の視点です:目の下の脂肪注入でしこり、さらに刺激剤でもう一つ

5年経っていても、取り出せますか。

この患者さんが何度も「できない」と言われてきた質問です。

時間が経った硬結は周囲の組織が硬くなっているため、摘出にはより慎重さと時間が必要になります。ただ、時間が経ったから消えるというものではありません。そもそも吸収されない材質もあり、その場合は待っても待ち続けるだけになります。

待ち続けるより、まず超音波で中に何があるのか、どの層にあるのかを確認することをおすすめします。そこで初めて、摘出が適応となるか、どこまで取り出せるか、その後どのような見た目になるかを具体的に相談できます。

あわせてお伝えしておくと、すべての硬結に摘出が必要なわけではなく、すべてに同じ方法が使えるわけでもありません。材質、深さ、範囲、周囲の組織の状態はそれぞれ異なり、結果にも個人差があります。経過を見るほうがよい場合もあります。

よくある質問

目の下の脂肪注入後にしこりに触れたら、失敗ということでしょうか。

必ずしもそうではありません。注入直後の腫れや凹凸は、時間とともに改善することがあります。ただ半年以上経ってもしこりが残り、外から見ても盛り上がりが分かる場合は、腫れの問題ではありません。一度超音波で状態を確認されることをおすすめします。

まずヒアルロニダーゼを試すことはできますか。

ヒアルロニダーゼが作用するのはヒアルロン酸だけです。自家脂肪もコラーゲン刺激材もヒアルロン酸ではないため、反応しません。だからこそ、何かを注射する前に材質を確認する必要があります。

摘出後に目立つ傷跡は残りますか。

針穴ほどの小さな創部から行います。この患者さんの術後3か月の状態では、針穴の部位は目立ちません。ただし傷跡の出方は体質、部位、術後のケアによって異なり、個人差があります。

摘出したあと、目の下がくぼんでしまいませんか。

取り出すのは本来そこにあるべきではない硬結であり、正常な組織ではありません。層の判断が正確で、手技が丁寧であれば、通常はご自身の輪郭に戻ります。もともとの涙溝のくぼみに対して何かを行うかどうか、行うとすればいつかは、回復が落ち着いてから評価します。

回復にはどのくらいかかりますか。

腫れは術後数日でピークを迎え、その後引いていきます。見た目の評価は術後3か月を目安にしています。組織が落ち着くまでに時間が必要だからです。実際の期間は症例により異なります。

答えを探している方へ

目の下に、触れても見ても分かる硬結が何年も残っていて、返ってくる答えがいつも「様子を見ましょう」か「手術が必要です」であれば、まず超音波での評価から始めてみてください。

中に何があるのかがはっきりして初めて、具体的な相談ができます。ご状況はオンライン相談からお聞かせください。


著者について

劉達儒 医師、麗式クリニック院長。超音波ガイド下でのフィラー合併症修正を専門とし、「見えて初めて安全に扱える」という原則を大切にしています。


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著者について
劉達儒

劉達儒医師

麗式クリニック 院長

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専門分野

<20% 極限低侵襲脂肪腫切除術粉瘤 1:1 精密低侵襲切除ワキガ低侵襲根治手術(腋下・乳輪・陰部・小児)アポクリン腺完全除去術フィラー合併症の単一ピンホール物理摘出術(溶解酵素・ステロイド・5-FUではない)自家脂肪硬結のピンホール微細粉砕摘出術

資格・経歴

  • 高雄醫學大學醫學系
  • 高雄長庚醫院皮膚科專任主治醫師
  • 高雄長庚醫院美容中心專任主治醫師
  • 廈門長庚醫院皮膚科兼任主治醫師
  • 廈門長庚醫院美容中心兼任主治醫師

「すべての手術で、極小の切開と精密な技術で、患者さんに理想的な結果をもたらすよう努めています。低侵襲手術は技術だけでなく、患者さんへの敬意と約束です。」

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