サーマクールで顔がこける?薄顔・痩せ顔はエネルギーを決める前に振り分けを

正直に言いますね。サーマクール(Thermage RF)が、何もないところから顔をこけさせることはありません。本当にこけるのは、エネルギーが一点に集中しすぎたところへ、もともと薄い脂肪層が重なったときです。頬の脂肪が豊かで、エネルギーが均等に行きわたる人なら、サーマクールでまず顔はこけません。逆に、もともと薄顔で頬骨の下にすでにくぼみがある人に、エネルギーを無理に押し込んで同じ場所に重ねると、一時的な脂肪の萎縮が「げっそり」「ガイコツっぽい」という形で表に出てくることがあります。だから施術できるかを決める最初の一歩は、エネルギーの設定ではなく、まず振り分けなんです。
サーマクールで顔がこける?
ずばり言うと、ほとんどの人はこけません。脂肪パッドが薄い一部の痩せ顔の人だけ、エネルギーが過度に集中した条件のもとでこける可能性がある。そういう話です。
サーマクールはもともと、コラーゲンを縮めて引き締めるための機械です。真皮とコラーゲンを含む皮下組織を 55〜65°C くらいまで加熱して、いまあるコラーゲンを収縮させ、そのあと新しいコラーゲンが生まれてくるのを促す。狙っているのはコラーゲンであって、脂肪ではありません。エネルギーが均等に配られて、届くべき深さにちゃんと届いていれば、脂肪の層はただ「通り道として温まる」だけで、わざわざ壊されることはないんです。
問題が起きるのは、やっぱり集中しすぎたときです。同じ一点にエネルギーを何度も重ねたり、深さのコントロールが効かなくて皮下脂肪のところまで落ちてしまったりすると、その熱が脂肪細胞にまで及ぶことがある。もともと頬の脂肪が豊かな人なら、この程度の目減りはほとんど見えません。でも薄顔の人、つまり頬骨の下やこめかみ、頬の中ほどの脂肪パッドがもともと薄い人だと、同じ目減りが目に見えるくぼみにまで拡大されてしまう。そこが分かれ目です。
重要ポイント: サーマクールのこけは「こけるか・こけないか」の二択ではなく、この顔の脂肪の元手で、エネルギーがもたらす目減りを吸収しきれるか、という振り分けの問題です。同じ一発でも、豊頬には引き締めになり、薄顔にはげっそりになりえます。
「ガイコツみたいになる」はどう起こるのか
口コミでよく見る「ガイコツみたいになった」「頬だけ局所的にくぼんだ」という訴え、これには実はちゃんと説明のつく仕組みがあります。オカルトの話ではありません。
エネルギー機器による局所の脂肪萎縮(lipoatrophy、脂肪が痩せて減ること)の中心にあるのは、脂肪細胞の遅れてくる細胞死です。熱が脂肪細胞の耐えられる範囲を超えると、傷ついた細胞が DAMPs(damage-associated molecular patterns、傷ついた細胞が出す警報のような分子)を放出して、プログラムされた細胞死、いわゆるアポトーシスのスイッチが入る。皮膚科の臨床観察をまとめた報告では、この細胞死の過程が施術後の数週間から数ヶ月にわたって続くとされています。だから脂肪が減るのはその場ではなくて、あとからゆっくり表面化してくることが多い。「直後は平気だったのに、一ヶ月後に見たらこけている」と感じるのは、これが理由なんですね。
つまり「集中しすぎ」と「薄い脂肪層」、この二つが重なったときに、ガイコツ化への道ができあがる。表にするとこうです。
| 要因 | 豊頬の結果 | 薄顔の結果 |
|---|---|---|
| エネルギーの均等配分 | 引き締まって輪郭がはっきり | 引き締まる。ただし持ち上げは控えめ |
| 同じ部位へのエネルギーの過度集中 | 厚みが緩衝するので目減りは目立たない | 局所のくぼみが拡大して表に出ることがある |
| 施術後数週間の遅れてくる脂肪萎縮 | ほとんど自覚なし | 「だんだんこけてきた」という実感 |
それからもう一つ。原廠(メーカー)も、サーマクールの施術中は軽度から中等度の痛みが一般的だと明記しています。この痛みが曲者で、施術する側を「痛がるから発数を打ち足りないままにする」か、あるいは「効果を出そうとして打ちやすい場所で無理に重ねる」か、どちらかに追い込みやすい。どちらもエネルギーの配分を崩します。言い換えれば、痛みのコントロールが甘いこと自体が、こけリスクの隠れた原因になっているわけです。だから私たちは、長年かけて組み立ててきた緩和鎮痛麻酔の流れで不快感を大幅に下げ、全身麻酔ではないので途中で会話もできる状態のまま、均等な配分で必要な発数を最後まで打ちきれるようにこだわっています。怖くて治療をあきらめる、という理由を一つ消しておきたいんです。
なぜ「痩せ顔こそ慎重に」なのか
「痩せ顔こそ慎重に」「打ったらもっとげっそりした」も、口コミのもう一つの主旋律です。この言葉をちゃんと理解するには、顔の老化が本当は何なのか、というところから入る必要があります。
顔の老化は、単に「皮膚がゆるんだ」だけではありません。中身の容積が減っていく現象でもある。顔の脂肪は浅い層と深い層の脂肪パッド(superficial / deep fat compartments)に分かれていて、なかでも深い層のほうが、歳とともに減る幅が大きいんです。10 年追いかけた研究(被験者を 46 歳から 57 歳まで追跡)では、深層脂肪の体積が約 18.4%、浅層は約 11.3% 減っていました。土台になっている深い層が先に崩れて、上の脂肪が支えを失って下がる。それが中顔面のくぼみや、涙袋の下のくぼみ、ほうれい線の深まりという「偽性下垂(pseudoptosis、本当はたるみより容積不足が主因の下がり方)」を作っていきます。
すでに容積が減って脂肪パッドが薄くなっている顔にとって、話はこうなります。
- その顔の本当の問題は、多くの場合「足りない」のほうで、「ゆるんでいるから引き締めが要る」ではありません。
- サーマクールが得意なのはコラーゲンを縮めて引き締めることで、減ってしまった容積を補うことはできません。
- 容積がもう足りない顔で引き締めだけを追うと、縮んだ皮膚が逆にくぼんだ骨格に密着して、見た目にはもっと乾いて、もっとこけて見えてしまう。
重要ポイント: 薄顔の「打ったらもっとげっそり」は、サーマクールが何かを壊したのではなく、たいていは道具の選び方を間違えたんです。容積を補うべき顔を、引き締めで処理してしまった。最初にやるべきは、この顔に足りないのが引き締めなのか容積なのかを見極めることです。
これが「振り分け」という言葉の中身です。エネルギーをどう設定するか考える前に、脂肪の支えが足りているのか、足りないものをそもそもサーマクールで与えられるのかを評価する。もっと掘り下げたい方は、〈顔の老化における容積流失の機序〉のほうで「こける」の解剖をより詳しく説明しています。
定点照射という打ち方が、なぜ過度集中のリスクを下げるのか
集中しすぎがリスクだ、とわかれば、「何発打つか」より「エネルギーをどう配るか」のほうが大事だという理由も見えてきます。
私はずっと、チップを顔の上で連続的に滑らせていく打ち方ではなく、定点照射、つまり一点一点きちんと止めて打つやり方にこだわってきました。この二つの一番の違いは、エネルギーの配分です。
- 滑らせる打ち方は、チップが動いている最中に発射するので、止まったところや折り返し、重なったところで、知らないうちにエネルギーがたまりやすい。配分を把握しづらく、集中しすぎる確率が上がります。
- 定点照射は、一発ごとに、あらかじめ決めた位置と層に落とす。深く入れるべきところは深く、浅く済ませるべきところは浅く、避けるべき薄い場所はちゃんと避ける。エネルギーを意識して層と区画で配っていける。
ここでは仕組みの話だけにして、細かい設定値には踏み込みません。要は、丁寧に層を分けて打てば、エネルギーは「届くべきところに届き、重ねるべきでないところでは重ねない」ようになって、過度な集中を入り口のところで抑えられる。薄顔の人にとっては、この「区画ごとに避けられる」かどうかが、そのまま「打てる顔」と「打てない顔」の線引きになることが、けっこうあるんです。
それと、もう一つ誤解されやすいのが効果の出るタイミングです。打った直後の引き締まりは、即時効果。コラーゲンが熱ですぐ縮んだだけで、これは誰が打っても得られるものだし、一部はあとで戻ります。本当の持ち上がりは新しいコラーゲンを待つので、だいたい一ヶ月後あたりからゆっくり出てくる。だから一回のサーマクールがうまく打てたかどうかは、比較写真を一ヶ月後から見てください。直後の締まり具合は、あまり当てになりません。
サーマクールと HIFU、スレッドの違い、薄顔ならどれを選ぶべきか、という話は〈サーマクール vs HIFU vs スレッドの選び方〉のほうに、もっと整理した振り分けの考え方を書いてあります。
もうこけてしまったら?容積補充と修復のつなぎ
もうすでに局所のくぼみが出てしまっている。その場合、方向ははっきりしています。こけたのは容積なので、補い戻すのも容積です。もう一度エネルギーで引き締めることではありません。
臨床的にも、エネルギーのあとに起きた局所の脂肪萎縮は、減ってしまった体積を補い戻すという考え方で対応します。引き締めを刺激し続けても、減った中身は戻ってきません。
- 自家脂肪移植は、自分の脂肪をくぼみへ精密に補う方法で、容積が欠けたという問題の本質に一番近い。ただし移植した脂肪が生着するか、平らに馴染むかは、採取・精製・層を分けての再注入がどれだけ丁寧かに大きく左右されます。詳しくは〈自家脂肪生着率の鍵となる要因〉を見てください。
- そして逆向き精密補脂という考え方。容積補充は「たくさん入れるほど良い」ではなくて、どこが、どれだけ、どの層で足りないのかを見極めて、くぼみを平らに埋め戻し、輪郭を自然につなぐことです。
重要ポイント: くぼみの修復で勝負を決めるのは「平らに、精密に補う」ことで、「たくさん補う」ことではありません。エネルギーが起こした問題の答えは、たいてい「もう一度エネルギーを打つ」ではなく、欠けた容積を精密に補い戻すほうにあります。
容積補充の全体の流れは、サービスページ〈自家脂肪補充〉にまとめてあります。とはいえ、一番良い修復は、修復が要らないこと。だからこそ施術前の振り分けがこれだけ大事になるんです。
あなたはそもそもサーマクールに向いている?
ここまでの仕組みを、実際に使える振り分けに落とし込みます。下は一般化した判断の方向で、実際は対面での個別評価が前提です。
| あなたの状況 | 振り分けの方向 |
|---|---|
| 頬の脂肪が豊か、主な悩みはコラーゲンのゆるみ、輪郭がぼやけ始め | サーマクールは良い出発点。コラーゲンの引き締め |
| 中等度の顔型、予防的に維持したい、段階的なコースもいとわない | サーマクールを評価可。要点はエネルギーの均等配分 |
| 薄顔、頬骨下やこめかみにすでにくぼみ、頬の脂肪が不足 | まず慎重に。引き締めより容積補充が必要かもしれない |
| エネルギーですでに局所のくぼみが出ている | 方向は容積補充の修復。もう一度エネルギーではない |
| 妊娠中、施術部位の局所感染、ペースメーカーや他の電子インプラント装着、施術部位に金属インプラント | 不適。サーマクールの禁忌、または先に除外が必要 |
本当のプロというのは、来た人みんなに「できますよ」と言うことではありません。まず「この顔は、やったら良くなるのか」を見極めることです。やったほうがいい人には、エネルギーを精密に層分けして、痛みを大幅に下げて、効果をしっかり届ける。やらないほうがいい、むしろ悪くなりそうな人には、「あなたは引き締めより容積補充に向いていますよ」と正直に言う。それは、もう一台サーマクールを受けることよりずっと大切なことだと思っています。
サーマクールの禁忌や緩和鎮痛麻酔の流れ、チップの原廠正規品を対面で確認することについては、サービスページ〈サーマクール Thermage RF〉に詳しく書いてあります。
サーマクールは第一世代から現在まで使い続けてきて、私自身、15 年以上の施術経験を積んできました。手技というのは人によって違うもので、頼りになるのは結局、長年かけて積み上げた「振り分けの眼」と、エネルギーをどの層に置くかという判断です。私の立場はずっとシンプルで、有効に行って、なおかつ痛みを大幅に下げる、そして向かないときは正直に伝える。これだけです。「こけるんじゃないか」で立ち止まっている方、あるいは自分の顔が向いているかどうか先に知りたい方は、対面相談で劉達儒 医師にご相談ください。まず振り分けをしてから、エネルギーの話をしましょう。
誠実なリスク開示: サーマクール施術は原廠が軽度〜中等度の痛みが一般的と明記しており、熱傷、一過性の神経症状(局所のしびれ、口角の左右差など)、結節、内出血、局所の脂肪萎縮などが生じることがあります。多くは一時的ですが、ゼロリスクは保証できません。実際の適応とリスクは対面での個別評価が必要です。
専門分野
資格・経歴
- 高雄醫學大學醫學系
- 高雄長庚醫院皮膚科專任主治醫師
- 高雄長庚醫院美容中心專任主治醫師
- 廈門長庚醫院皮膚科兼任主治醫師
- 廈門長庚醫院美容中心兼任主治醫師
「すべての手術で、極小の切開と精密な技術で、患者さんに理想的な結果をもたらすよう努めています。低侵襲手術は技術だけでなく、患者さんへの敬意と約束です。」
