スレッドリフト後のくぼみ・左右差・糸の露出——原因と対処法を整理する

鏡で見て、片側だけ引き上がっているように見える。頬を押さえたら糸の感触がある。施術前はなかったくぼみが頬にできた。スレッドリフト後にこういった変化に気づいたとき、何が起きているかを正しく理解することが、次の判断の出発点になります。
それぞれの状況には異なる原因があり、「様子を見る」べきケースと「すぐに受診する」べきケースが明確に分かれます。
最もよくある訴え:くぼみ(ディンプリング)
施術後3〜5日のうちに浅いくぼみや皮膚のつれが生じるのは、通常の経過の範囲内です。埋め込んだ糸にかかる張力がまだ均等に広がっておらず、多くのケースで1〜2週間以内に自然に消退します。
4週間以上続くくぼみは評価が必要です。よくある原因は二つです。
一つ目は、糸が浅すぎる層に入っていること。糸はSMAS筋膜層の上方など、計画した深さに留置されるべきで、真皮層に入ってしまうと、逆刺のアンカーが真皮を引っ張り、皮膚表面が凹みます。皮下脂肪が薄い方、頬骨が高く頬がもともとくぼみがちな方は、この種のくぼみが起きやすい傾向があります。
二つ目は、糸に沿って力が均等に分散されず、特定の点に集中してしまうことです。組織の密度の違いや逆刺の配列によって、糸のアンカー力が一部に偏り、局所的なくぼみを生じさせます。
まずは経過観察が基本です。改善が見られない場合は、超音波で糸の位置を確認し、調整の必要性を判断します。
左右の仕上がりが違う:左右差
多くの方は、自分の顔が思っているより非対称であることに気づいていません。スレッドリフト後、左右差が施術前より目立つことがあります。これは施術が不均一だったからではなく、もともとある差を糸が強調してしまうために起こることが多いです。
左右差の主な原因は三つに分類されます。一つ目は、術前の評価で十分に把握されていなかった骨格の非対称。二つ目は、両側でベクター(糸を引く方向と角度)のデザインにわずかな差があること。三つ目は、左右の組織密度が異なり、同じ糸を使っても引かれ方が変わることです。
施術後4〜6週間は、組織が糸と馴染む「インテグレーション期間」です。この期間に見た仕上がりは最終的な結果を反映していません。インテグレーション期間が終わってから評価し、補糸やベクター調整が必要かどうかを相談するのが適切です。
糸が触れる・位置がずれる・皮膚から出てくる
施術後数週間、糸の走行に沿って軽く押すと、わずかな「糸の感触」を感じる場合があります。これは過渡期の所見で、組織が糸を取り込むにつれて薄れていきます。問題はありません。
糸が皮膚の表面を貫通して外に出る(糸の露出)のは、まったく異なる状況です。すぐに受診が必要です。露出は主に、糸が浅い層に留置された場合や、施術後に顔への圧迫・引っ張りが加わった場合(横向き寝で同じ側を圧迫する、硬いものを強く噛むなど)に起こります。
糸が皮膚を貫通すると、その微細な開口部が感染の入口になります。感染リスクは時間とともに累積します。対処の有効な時間は発見から約1週間以内です。この時間内であれば、多くの場合、糸全体を除去せず局所的な処置で対応できます。1週間を過ぎると対応の難度が上がります。
糸の位置ずれ(意図しない方向への移動)は別の状況で、直ちに危険を伴うことは少ないですが、超音波で位置を確認してから対応方針を決めます。
表情を動かしたときの引っ張られる感じ
口を大きく開けたり、笑ったり、話したりするときに、顔の一部が「引っ張られる」「締め付けられる」感覚が生じることがあります。施術後1〜2週間が最も強く、糸の走行が表情筋の浅層筋膜に近い場合に起きやすい現象です。
多くは2〜4週間で組織が糸を包み込み、感覚が和らぎます。6週間後も明らかな動態的不快感が続く場合は、糸の走行が計画した解剖学的層と一致しているかどうかを評価します。
感染
感染は他のリスクと比べて発生頻度は低いですが、進行が速い点に注意が必要です。初期症状は穿刺部の発赤・腫脹、分泌物、局所の熱感で、通常の術後腫脹とは異なります。
感染しやすい状況として、施術後早期に他の顔の施術を行うこと、穿刺部のケアが不十分なこと、免疫系の疾患がある場合などが挙げられます。これらの症状があれば、様子を見ずにすぐ受診してください。
リスクを下げるために:術前評価の重要性
重要なポイント: スレッドリフトのリスクをゼロにすることはできませんが、丁寧な術前評価によって大幅に低減できます。超音波による皮下脂肪の厚さ・靭帯の位置・血管走行の確認は、糸の設計と安全な留置のための基礎情報であり、省略できるオプションではありません。
構造的スレッドリフトでは、部位ごとに実際の解剖層次に合わせた深さで糸を留置するアプローチをとります。全顔同一深さで行うのではなく、各部位の解剖を「見て」から処置する、というのが基本的な考え方です。
糸の種類も組織の状況に合わせて選ぶことが重要です。皮下脂肪が薄い部位では大きな逆刺の糸がくぼみを起こしやすいため、細いタイプや平滑なデザインが適している場合があります。PDO・PLLA・PCLの糸材料の違いについては、スレッド素材の比較でも詳しく解説しています。
ベクターの設計は単なる「どこに向かって引くか」ではなく、その方の組織下垂のパターンと程度に対応した角度を、左右それぞれで決める作業です。このデザインの精度が、左右差を予防するか生じさせるかを分けます。
様子を見るか、すぐ受診するかの判断基準
| 状況 | 推奨する行動 |
|---|---|
| 術後1〜2週間のくぼみ | 経過観察(多くは自然改善) |
| 4週間以上続くくぼみ | 受診・超音波での層次確認 |
| 術後6週間以内の左右差 | インテグレーション期間終了後に評価 |
| 6週間以降の明らかな左右差 | 受診・補糸またはベクター調整を相談 |
| 糸の皮膚貫通・露出 | すぐに受診(対処の窓口は1週間以内) |
| 施術後2〜4週間の引っ張られる感じ | 経過観察・誇張した表情を控える |
| 発赤・分泌物・局所の熱感 | すぐに受診(感染の可能性) |
重要なポイント: 何かが変だと思ったとき、難しいのは「受診するかどうか」ではなく、「自分の状況はどのケースか」の判断です。確信が持てない場合は、施術を受けたクリニックか、超音波ガイド下での評価と糸の除去の経験があるクリニックへ相談するのが最も安全な判断です。
よくある質問
スレッドリフト後のくぼみは、何が原因で起きるのですか?
くぼみの主な要因は、糸を留置した層・引き上げる力の分配・ご自身の皮下組織の厚さで、どの糸を使ったかではありません。同じ糸でも顔の形や留置の深さが変われば結果は大きく変わります。ですから確認すべきは、今回のベクター設計がご自身の組織条件に合っていたかどうかです。
スレッドリフト後の左右差は修正できますか?
評価の上で修正は可能です。インテグレーション期間が終わってから、補糸やベクター調整を検討します。早まって動くと、既存の糸の効果に影響する場合があります。修正の選択肢について詳しくは、スレッドリフト失敗の修正ガイドをご参照ください。
糸が露出した場合、必ず全部取り除く必要がありますか?
そうとは限りません。末端の一部のみの露出であれば、その部分の処置と穿刺部の消毒で対応できる場合があります。糸が大きく位置ずれしている場合や感染が見られる場合は、完全な除去を検討します。超音波で位置を確認してから判断します。
最終的な仕上がりを評価するのに適した時期はいつですか?
術後6〜8週間が目安です。それ以前は組織がまだ変化している段階で、4週間時点の見た目が8週間時点と大きく異なることもあります。
スレッドリフトに適した年齢・適応症(どの程度の下垂まで対応できるか)については、スレッドリフト適応年齢と適応症もご参照ください。具体的な状況についての評価は、ご相談・予約からお問い合わせください。
専門分野
資格・経歴
- 高雄醫學大學醫學系
- 高雄長庚醫院皮膚科專任主治醫師
- 高雄長庚醫院美容中心專任主治醫師
- 廈門長庚醫院皮膚科兼任主治醫師
- 廈門長庚醫院美容中心兼任主治醫師
「すべての手術で、極小の切開と精密な技術で、患者さんに理想的な結果をもたらすよう努めています。低侵襲手術は技術だけでなく、患者さんへの敬意と約束です。」
術後修復の道のりには仲間のサポートも必要です

