術後のサージカルテープはいつまで貼る?帝王切開は三ヶ月、通常の傷は二〜四週間

抜糸の日、看護師からサージカルテープを一箱渡されて「家でも貼り続けてください」と言われます。
そして家に帰ると、疑問が出てきます。いつまで貼るのか。何日おきに換えるのか。どうなったらやめていいのか。
この三つは、外来で毎週のように聞かれます。そして診ていて気づくことがあります。貼っていない人が問題なのではありません。貼る向きが違っていて、結果として効果がまったく出ていない人が本当に多いのです。
結論から言うと、傷の張力しだいです
通常の傷——顔の小さな切開、脂肪腫を取り出したあとの小さな穴——であれば、抜糸の日から始めて二〜四週間。そのあとはシリコンジェルシートかシリコンジェルにバトンを渡し、そこから先の数ヶ月をシリコンが支えます。
ただし傷がお腹にある場合——帝王切開、腹腔鏡——あるいは関節、肩、胸元のように、いつも引っ張られている場所にある場合、三ヶ月貼り続けます。この差は大きく、しかもほとんどの方が聞かされていません。あとで一章を割いて説明します。
先に、通常の傷でいちばん多い誤解を片づけておきます。その二〜四週間は、リレーの第一走者であって全区間ではありません。三ヶ月も四ヶ月もテープを貼り続け、シリコンを一度も始めないまま終わる方がいます。いちばん大事な時期を、静かに逃していることになります。
張力の大きい傷では、間違いの向きが逆になります。そちらでは、早く外すことこそが問題です。
なぜ二〜四週間なのか
この期間の意味を理解するには、テープが何をしているのかを知る必要があります。
テープは薬ではありません。傷跡を溶かすものでもありません。やっていることは一つだけ、傷にかかる張力を減らすことです。
傷が治っていく間、両側の皮膚は外側へ引っ張り続けます。この引っ張る力が強いほど、傷跡は幅広く、厚くなっていきます。傷を横切るようにテープを貼ると、その力の一部をテープが引き受けてくれる。だから傷跡が細く仕上がる可能性が出てきます。
そして張力の影響がいちばん大きいのは、抜糸のあとの数週間です。それを過ぎると傷は再構築の段階に入り、必要になるのはシリコンがつくる保湿と密閉の環境になります。そこではもうテープは主役ではありません。
二〜四週間という数字は、適当に決めたものではなく、傷がいちばん引っ張られたくない時期に対応しています。
向きが違えば、何週間貼っても意味がない
ここがいちばん伝えたい部分です。
サージカルテープは、傷に対して直角に貼ります。傷に沿って貼るのではありません。
傷を一本の線だと思ってください。テープはその線を横切って、一枚ずつ、線路の枕木のように並べていきます。そうしてはじめて、外へ開こうとする両側の力を引き戻せます。
傷と同じ向きに貼ってしまうと、テープはただ上に乗っているだけで、張力を減らす働きはまったくありません。この間違いは非常に多く、しかも本人は気づけません。見た目には「ちゃんと貼ってある」からです。
長さ、重ね方、貼る前にどこまで乾かすか——こうした細部はサージカルテープの貼り方にまとめました。
交換は二〜三日おき、浮いてきたら
二、三日貼って、角が少し浮いてきた、あるいは粘着力が落ちてきたと感じたら、新しいものに換える。それで十分です。
毎日剥がす必要はありません。頻繁に剥がすほうが、治ったばかりの皮膚を刺激してしまいます。
換えるのは次のときです。
- 端が浮いてきた、めくれてきた。
- 粘着力が明らかに落ち、貼りついていない。
- 目に見えて汚れている。
- 傷からまだ滲出液が出ている(これは貼り替えの問題ではありません。一度診せてください)。
水については——シャワーで濡れた、湿った——一度濡れたくらいで粘着力は落ちません。あわてて剥がす必要はありません。 交換の合図は「濡れたこと」ではなく、「浮いてきたこと、粘着力が落ちたこと」です。
そもそもテープは抜糸のあとから貼り始めるもので、その頃には傷の表面の上皮が治っています。本当に濡らせないのは手術後の最初の二週間で、そこは防水のドレッシング材か毎日の処置で対応します——その時期は、はじめからテープの出番ではありません。
このあたりの細部(入浴、剥がれ続けるときの対処)はサージカルテープの貼り方にあります。
貼りつかない、すぐ剥がれる
まず皮膚が本当に乾いているかを確認してください。軟膏を塗った直後、入浴の直後、汗をかいたあと。これがいちばん多い原因です。
関節の近くやお腹のように、動きの大きい部位ではテープが引っ張られて外れやすくなります。その場合は交換の間隔を短くするか、伸縮性のある製品を選びます。
粘着剤に皮膚が反応することもあります。貼ったところが赤くなる、かゆい、発疹が出る。そういうときは我慢しないでください。別の製品に替えるか、シリコンへ早めに移ります。刺激され続けている皮膚は、傷跡にとってもよくありません。
シリコンをいつ、どう始めるかはシリコンジェルシートはいつから?にあります。
やめていいタイミング
以下は通常の傷の話です(張力の大きい傷は上の章をご覧ください。答えは三ヶ月です)。
二〜四週間が過ぎ、表面が完全に治り、滲出液がなく、皮膚が乾いて整っていれば、テープは終わりにできます。
ただしテープの終了は、ケアの終了ではありません。ここからシリコンジェルシート、あるいはシリコンジェルに引き継ぎます。開始はだいたい抜糸から二週間後、傷が確実に閉じてからです。傷跡の最終的な仕上がりを本当に左右するのは、こちらの段階です。最低でも二〜三ヶ月、私は六ヶ月続けることをお勧めしています。
ケロイド体質の方、これまでに傷跡が盛り上がった経験のある方は、さらに長く見てください。
シリコンの使い方、そして塗り薬と併用できるのかについては、傷跡ジェルとサージカルテープは一緒に使えるかで説明しています。術後の傷跡ケア全体の流れは術後の傷跡予防 完全ガイドにまとめています。
帝王切開・腹腔鏡では、二〜四週間では足りません
いちばん大事な例外です。
先ほどの二〜四週間は、張力の小さい傷の話です。顔の小さな切開、脂肪腫を取り出した小さな穴。そういう傷は数週間貼って、シリコンに引き継げば十分です。
けれども傷がお腹にある場合——帝王切開、腹腔鏡——あるいは関節、肩、胸元のように一日中引っ張られる場所であれば、三ヶ月貼り続けます。
なぜ違うのか。皮膚が閉じたことと、張力が終わったことは別だからです。お腹の皮膚は毎日動き、引っ張られ続けます。そして傷跡が本当に増殖するピークは、手術から三〜四ヶ月後に来ます。二週間でテープを外せば、その後の数ヶ月、傷は何にも支えられないまま引っ張られ続けることになります。傷跡が広く、盛り上がって仕上がるのは、まさにそれが理由です。
帝王切開の傷を対象にしたランダム化比較試験があります。患者を二群に分け、一方は十二週間ずっとテープを貼り続け、もう一方は貼りませんでした。十二週の時点で、貼らなかった群の 41% に肥厚性瘢痕が生じ、貼った群では一人も生じませんでした。研究者が算出したリスク差は十三倍以上です。
ですからネット上で「二週間、皮膚が閉じたらもう不要」と「三ヶ月は必要」という矛盾した答えを見かけるのは、そもそも同じ種類の傷の話をしていないからです。混同した代償は、細く仕上がったはずの傷跡が、広く盛り上がった一本の線になることです。
ケロイド体質の方、傷の張力が特に大きい方には、六ヶ月まで延ばすようお願いしています。
傷の長さ、縫合にかかっている張力、治り方によって、実際の期間は前後します。再診で一目見ればお伝えできます。
傷跡のケアは、製品を買ったから効くのではありません。毎日続けるから効きます。習慣が結果を決めます。
よくある質問
帝王切開の傷は、どのくらい貼りますか。
三ヶ月です。お腹は張力が大きく、一日中動きます。二週間でやめるのは早すぎます——傷跡が増殖するピークが、まだ来ていないからです。腹腔鏡の傷も同じです。
濡れてしまいました。すぐ換えますか。
その必要はありません。一度濡れたくらいで粘着力は落ちません。浮いてきたとき、粘着力が落ちたときに換えてください。
テープを貼ったままシャワーを浴びていいですか。
構いません。テープは抜糸のあとから貼るもので、その頃には傷の表面が治っています。濡らさないでいただきたいのは手術後の最初の二週間です。
シリコンを使わず、テープだけで通してもいいですか。
おすすめしません。役割が違います。テープは張力を減らすもの、シリコンは再構築期に保湿と密閉で働くものです。傷が治ったあとに本当に必要なのはシリコンのほうです。
テープを貼れば傷跡は消えますか。
消えません。どんな製品でも傷跡を消すことはできません。できるのは、より細く、より平らに、より目立たない方向へ導くことです。効果には個人差があり、体質や傷の部位にも左右されます。
かぶれてしまったら。
いったん中止して、製品を替えるか、シリコンに移ります。我慢して貼り続けないでください。
参考文献
- Atkinson JA, McKenna KT, Barnett AG, McGrath DJ, Rudd M. A randomized, controlled trial to determine the efficacy of paper tape in preventing hypertrophic scar formation in surgical incisions that traverse Langer's skin tension lines. Plast Reconstr Surg. 2005;116(6):1648-56.(帝王切開の傷、ペーパーテープを12週間継続使用)
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著者について
劉達儒 医師 (Dr. Ta-Ju Liu)
麗式クリニック院長。低侵襲手術の臨床経験 15 年以上、台湾皮膚科専門医。極限低侵襲手術(脂肪腫・粉瘤)、腋臭症手術、術後の傷跡ケアを専門とします。
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資格・経歴
- 高雄醫學大學醫學系
- 高雄長庚醫院皮膚科專任主治醫師
- 高雄長庚醫院美容中心專任主治醫師
- 廈門長庚醫院皮膚科兼任主治醫師
- 廈門長庚醫院美容中心兼任主治醫師
「すべての手術で、極小の切開と精密な技術で、患者さんに理想的な結果をもたらすよう努めています。低侵襲手術は技術だけでなく、患者さんへの敬意と約束です。」
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